ふわりとした声に、まっすぐな想いが宿る。
優しく語りかけるように、でも確かな芯を持って歌う。
“君の耳に会いに来た”――そのキャッチフレーズの通り、
彼女の音楽はそっと心の奥に触れてくる。
VTuberとして、アーティストとして、そしてひとりの“表現者”として。
みたにみくさんは今日も、自分の音で「生きる」という言葉を紡いでいる。
君の耳に、ふわりと届く声を。
――歌ううさぎVTuber「みたにみく」の、優しさと透明感に包まれて。
「こんみく!君の耳に会いに来た!」
柔らかい声とともにそう語りかけるのは、歌うふわふわ癒し系VTuber・みたにみくさん。
DTMでの楽曲制作やアコースティックギターでの弾き語りを軸に活動し、なんとオリジナル曲は122曲にものぼる。
活動の原点を尋ねると、
「VTuberさんからMIXの依頼をもらって、配信の世界を知ったんです。それで“自分でも歌を届けたい”と思ったのがきっかけ」と話す。
「弾き語り」は、みくさんにとって“素のままの表現”
音楽を始めたのは幼いころ。3歳でピアノを習い、小学生の頃には作曲コンクールに挑戦していたという。
「父上と“賞状10枚で犬を飼う”契約をしてたんです(笑)。それで作曲を始めたのが最初かも」
ふとしたきっかけから音楽の世界に踏み込み、その延長線上に今の“弾き語り”がある。
「みくの声アコギと合うと思って。あと、インスト音源の権利を気にしなくていいのも気楽で(笑)」
音の親和性を何より大切にするみくさんにとって、弾き語りは“自分の声を最も自然に届けられる形”だ。
配信では、音の作り込みにも余念がない。
「EQとコンプを細かく調整して、アコギとボーカルが混ざりやすくしてます。
あと、キーによってアコギの響きが変わるから、チューニングを半音下げたり、カポを使ったりして最適な音を探してます」
技術的な探求心と感覚的なこだわり。その両方を行き来する彼女の音は、リスナーにとって“生きた温度”を感じさせる。

言葉とメロディのあいだにある、“生きる”という想い
みたにみくさんの楽曲は、どれも彼女の心の中にある“現実の痛み”や“生きる強さ”を、やわらかく包み込むように表現している。
「作詞は、苦しい時に出た気持ちを比喩を使って書くことが多いです。その題材じゃなきゃダメな理由がないものは全部ボツにしてます」
たとえば“パーカー”が恋の象徴なら、なぜそれが“パーカー”である必要があるのか――そんな細部までこだわり抜く。
「歌詞って、そのモチーフを選んだ理由の深さが大事だと思うんです」
作曲もまた、感情と密接に結びついている。
「歌詞の雰囲気に合わせて気分で作ってます。編曲のときは“マウスの赴くまま”に(笑)」
感覚的で自由。でもその中に、確かに“自分の声”がある。
「歌声については、“透明感がある”って思ってます」
彼女はそう言いながらも、「届く声」を探す努力を怠らない。
「チャンネル登録に届く声と届かない声がある気がして(笑)。その“届く声”で歌い続けたいって意識してます」
心の奥に残る4つの歌
彼女の楽曲の中でも特に思い入れの深い4曲を紹介してもらった。
それぞれの楽曲には、みたにみくというアーティストの“生き方”が刻まれている。
「はじまりの歌」
オリジナル曲が100曲を突破した節目に生まれた一曲。
“まだここがはじまり”というメッセージがタイトルに込められている。
「オリ曲100曲突破したけど、まだもっともっとここがはじまりってくらい活動続けるから一緒に生きようね!!!!!」
音楽を続ける覚悟と、聴いてくれる人への感謝がまっすぐに重なる。
彼女にとってこの曲は、リスナーとの新しい“約束”のような一曲だ。
「拝啓、星空」
この曲は、死生観と祈りが混ざり合う、みたにみくの代表作のひとつ。
「人が死んだら星になると仮定すると、死んで星の場所にすぐワープしたら、その星に地球の光が届くまで何億光年もかかる。だから死んでから自分の人生を見直すことになると思うの。
今苦しくてもリタイアしたくても、星になって無限の時間を迎えたあとに後悔する気がして……だからその時に泣いちゃわないように、生きようね。」
深く、静かに、そしてやさしく――「生きる」という言葉の重みを思い出させてくれる曲だ。
「金木犀」
柔らかく香る秋の花のように、この曲は“記憶とぬくもり”をテーマにしている。
「君が僕のことをいつか忘れてしまっても、僕の作った楽曲が少しでも君のお守りになりますように」
秋風に揺れる金木犀のような、切なさと優しさが共存するバラード。
彼女自身がMIXを手がけ、細部まで丁寧に磨き上げた音は、まるで祈りのように穏やかに響く。
「深海魚」
「強くなるしかなくて、深海魚が水圧に耐えられるように体が硬くなったみたいに、心を硬くして生きてきたけど――本当は“弱いままでいいよ”って頭を撫でてほしかっただけ」
湯船の中で泣きながら書いたというこの曲は、彼女の本音が最も色濃く刻まれた一曲。
静かに沈むようなメロディと透明な声が、聴く人の心に深く届く。
彼女が伝えたいのは、「強くなること」ではなく「一緒に生きること」だ。
「一緒に手をつないで、生きていこうね」
これまでの活動を振り返りつつ、これから挑戦していきたいことを尋ねると、みたにみくさんらしい答えが返ってきた。
「死ぬまで音楽で生きること! あとはボカデュオ20チームとかやりたい(笑)。水鉄砲とドラクエ9のみたにみくオフ会やって、その後ライブしたい!」
ユーモアの中に、本気の覚悟がある。
彼女の音楽は、決して背伸びをせず、けれど確かな情熱を持って“今”を積み重ねていく。
「辛いことたくさんあると思うけど、一緒に手繋いで乗り越えていこうね」
その言葉は、聴く人の心を包む“音”そのものだ。
最後に、読者とファンへのメッセージを聞いた。
「いつもたくさん応援してくれてありがとう!!!
応援のおかげでみくは生きていられます。これからもその応援に応え続けて、いっぱい頑張っていけるようにします!
曲や配信、たくさん待っててね!」
みたにみくというアーティストは、“透明感のある声”だけでなく、その声の裏にある“生きる力”そのものを届けている。
これからも彼女は、ふわりとした笑顔と音楽で、あなたの耳に、そして心に会いに来てくれるだろう。
🌐 みたにみく プロフィール
歌ううさぎVTuber/シンガーソングライター。
DTMによる楽曲制作とアコースティックギターでの弾き語りを中心に活動し、オリジナル曲は120曲を超える。
やわらかな声と繊細な感情表現で、「生きる」という想いを音に乗せて届ける。
🎧 YouTube:mikumitani
🕊️ X(旧Twitter):@misairunrun
🎵 代表曲:「拝啓、星空」「深海魚」「はじまりの歌」
8th ALBUM「あの日の幼い僕へ」
過去の自分へそっと寄り添うように紡がれた一枚。幼い頃の記憶の奥に沈んでいた痛みや光を、 やわらかな歌声で包み込むように描き出した作品です。
9th ALBUM「金木犀」
金木犀の香りがふわりと漂うような、切なさと温かさが同居するアルバム。 季節の移ろいの中でふと立ち止まった瞬間を、やさしい光のように照らし出す一作です。
💫編集後記
取材を終えて印象に残ったのは、彼女の「真っすぐさ」だった。
飾らず、言葉を選びながらも、どこまでも素直に音と向き合っている。
みたにみくさんの音楽は、“頑張らなきゃ”と力が入った心を、そっとほぐしてくれる。
そして気づけば、「もう少し生きてみようかな」と思わせてくれる不思議な力がある。
彼女のこれからの音が、また誰かの心に届く日を楽しみにしている。
