2026年、あいみょんさんがメジャーデビュー10周年という節目を迎えます。
「裸の心」「マリーゴールド」「愛を伝えたいだとか」など、数々の楽曲は世代を超えて愛され、今なお多くの人の心を動かし続けています。
VTuber・VSingerの世界でも、それらの楽曲は数多くの「歌ってみた」として歌われてきました。
同じ歌詞、同じメロディでありながら、歌い手が変わるだけで見えてくる景色は大きく変わります。優しさとして響くこともあれば、切なさとして胸に残ることもある。そして時には、原曲とはまた違った新しい物語を感じさせてくれることもあります。
10周年という節目をきっかけに、VirtualSoundBox編集部が改めてVTuber・VSingerによるあいみょんさんの歌ってみたMVを聴き直しました。
そこで出会ったのは、原曲への深いリスペクトと、それぞれの歌い手だからこそ表現できる個性が織りなす、魅力あふれる作品の数々です。
今回は、その中から編集部が特に心を動かされた8本の歌ってみたMVをご紹介します。
同じ一曲でも、歌い手が変われば物語は変わる。
そんな「歌ってみた」だからこそ味わえる魅力を、ぜひ最後までお楽しみください。
編集部が選ぶ、8つの歌ってみたMV
裸の心|獅子神レオナ
あいみょんさんの歌ってみたを探していると、自然と何度も出会う名前があります。
それが、獅子神レオナさんです。
「裸の心」をはじめ、「君はロックを聴かない」「ハルノヒ」「愛を伝えたいだとか」「空の青さを知る人よ」など、多くのあいみょん楽曲を歌い続けてきました。
だからこそ、この特集はこの一曲から始めたいと思いました。
歌い始めてすぐに感じるのは、優しさだけではありません。
感情を大きく揺さぶるのではなく、一つひとつの言葉を丁寧に手渡していくような歌い方が印象に残ります。
原曲の細かなニュアンスや息遣いへのリスペクトを感じさせながら、それを単に再現するのではなく、自分自身の歌として自然に昇華しています。
だから聴いているうちに、「あいみょんの曲を歌っている」という感覚から、「獅子神レオナさんの『裸の心』」へと印象が変わっていきます。
歌ってみたは、原曲をなぞるだけの文化ではない。
その魅力を、この一曲が静かに教えてくれます。
🎨 制作スタッフ
Vocal:獅子神レオナ
Mix:tsi
🌐 SNS / チャンネル
YouTube:https://www.youtube.com/@Leona_Shishigami
X(旧Twitter):https://x.com/LeonaShishigami
三つの「マリーゴールド」、そこに見えた違う景色
今回ご紹介する中で、特に印象的だったのが「マリーゴールド」です。
この楽曲は3人のVTuber・VSingerによって歌われています。
同じ楽曲を複数取り上げることに最初は少し迷いもありました。
しかし実際に聴き比べてみると、その迷いはすぐになくなりました。
同じメロディ、同じ歌詞でありながら、それぞれが描き出す世界はまったく違っていたからです。
まずは、春歌みことさんが歌う「マリーゴールド」からご紹介します。
マリーゴールド|春歌みこと
春歌みことさんの「マリーゴールド」から感じたのは、すぐ隣で優しく笑いかけてくれているような、温もりのある歌声でした。
原曲が描く「大切な人との思い出」や、何気ない日常の愛おしさを丁寧に受け取りながら、春歌みことさんの歌では、遠い過去を振り返るというよりも、今そばにある幸せを大切に抱きしめるような印象があります。
柔らかく包み込むような歌声でありながら、楽曲にただ寄り添うだけではなく、春歌みことさん自身の表現としてしっかりと歌い上げていることも魅力です。
「マリーゴールド」が持つ優しい空気感を大切にしながら、聴く人のすぐ近くまで届けてくれるような一曲。
原曲へのリスペクトと、春歌みことさんだからこそ生まれる温かな表現が重なった、何度でも聴き返したくなる歌ってみたMVです。
マリーゴールド|エルせとさめのぽき
続いて流れてきた「マリーゴールド」は、まるで別の物語でした。
同じメロディを歌っているはずなのに、春歌みことさんの歌から感じた温もりとは少し違う景色が広がります。
エルせさんの歌声から伝わってきたのは、誰かを想い続ける切なさでした。
すぐ隣で笑ってくれている人ではなく、もう隣にはいない誰かを思い出しているような空気。
「あの頃は楽しかったね」と懐かしむのではなく、「もう一度会えたら」という願いにも似た感情が静かに滲み出ています。
感情を大きく揺さぶる歌い方ではありません。
だからこそ、一言一言に込められた想いがゆっくりと胸へ届いてきます。
原曲が持つ世界観を大切に受け止めながら、自分自身の解釈を重ねることで、「マリーゴールド」という一曲に新しい物語を生み出していました。
歌ってみたの魅力は、歌の上手さだけではない。
そんなことを改めて感じさせてくれる一曲です。
🎨 制作スタッフ
Vocal:エルせとさめのぽき
🌐 SNS / チャンネル
YouTube:https://www.youtube.com/@ElsePokiCh
X(旧Twitter):https://x.com/Else_PJblue
マリーゴールド|u32
同じ「マリーゴールド」でも、u32さんの歌声から感じたのは、過去を抱えながら前へ進んでいく「願い」や「希望」でした。
春歌みことさんが大切な人との温かな時間を描き、エルせとさめのぽきさんが届かない想いの切なさを感じさせる一方で、u32さんの歌には、そのすべてを受け止めた先にある前向きな強さがあります。
思い出を振り返るだけではなく、その記憶を胸に抱えながら、これから先へ歩いていく。そんな情景が浮かぶ歌声です。
韓国を拠点に活動するVSingerであるu32さんですが、国籍を意識することなく楽曲への深い理解と表現力が伝わってくることも大きな魅力です。
「マリーゴールド」が持つ温かさや切なさを大切にしながら、そこへ新たな希望の色を加えた一曲。
原曲への敬意と、u32さん自身の感性が重なり合うことで生まれた、印象深い歌ってみたMVです。
一つの曲に、三つの物語があった。
三人の「マリーゴールド」を聴き終えて、改めて感じたことがあります。
それは、一つの楽曲には決まった答えがあるわけではないということです。
春歌みことさんから感じたのは、すぐそばで寄り添ってくれるような温もり。
エルせとさんから感じたのは、もう隣にはいない誰かを想う切なさ。
そしてu32さんから伝わってきたのは、その想いを抱えながらも前へ進もうとする希望でした。
歌詞も、メロディも同じ。
それでも歌い手が変われば、そこに生まれる物語は変わります。
歌ってみたの魅力は、原曲を再現することだけではありません。
歌い手自身の経験や感情が重なることで、新しい表現として生まれ変わること。
そこに、この文化の面白さがあるのだと思います。
次にご紹介する「愛を伝えたいだとか」でも、同じように一つの楽曲から異なる感情が描き出されています。
恋の歌は、答えがひとつじゃない。
「マリーゴールド」で感じたのは、同じ景色でも歌い手によって見え方が変わることでした。
では、恋愛を描いた楽曲ならどうでしょうか。
「愛を伝えたいだとか」は、どこか気だるさをまといながらも、言葉にできない想いが詰まった一曲です。
だからこそ、歌い手が変わると、その恋の形まで変わって聴こえてきます。
ここからは二人のVSingerが歌う「愛を伝えたいだとか」をご紹介します。
愛を伝えたいだとか|松永依織
歌い始めから、言葉一つひとつに意思を感じました。
松永依織さんの「愛を伝えたいだとか」は、ただ恋を歌うのではなく、その奥にある葛藤や迷いまで丁寧に描いています。
待ち続けても届かない想い。
それでも相手を見つめ続けてしまう気持ち。
「君はどうしたい?」という問いかけには、責めるような強さではなく、自分自身にも問い掛けているような揺らぎがありました。
場面ごとに表情を変えていく歌声は、まるで一つの物語を読んでいるようです。
原曲へのリスペクトを大切にしながらも、松永依織さん自身の感情を自然に重ねることで、この楽曲に新しい深みを与えています。
歌詞を改めて読み返したくなる。
そんな余韻を残してくれる歌ってみたでした。
🎨 制作スタッフ
Vocal:松永依織
🌐 SNS / チャンネル
YouTube:https://www.youtube.com/@IORIMATSUNAGA
X(旧Twitter):https://x.com/iori_m_RIOT
愛を伝えたいだとか|RaNa
同じ歌詞なのに、こんなにも印象が変わるのか。
RaNaさんの歌を聴き終えたとき、最初に浮かんだのはその一言でした。
気だるさや問いかけるような空気は共通しています。
ですが、その奥から伝わってくる感情は少し違いました。
待ち続ける切なさというよりも、「もう十分でしょう」と静かに言い聞かせているような諦め。
そして、「あんたはどうしたいわけ?」と距離を置きながら投げかけるような、少し大人びた視線。
感情を爆発させるのではなく、抑えることで伝わってくるものがあります。
RaNaさんの歌には、そんな静かな強さがありました。
同じ「愛を伝えたいだとか」でも、ここまで違う物語になる。
改めて歌ってみたという文化の面白さを感じさせてくれる作品です。
🎨 制作スタッフ
Vocal:RaNa
🌐 SNS / チャンネル
YouTube:https://www.youtube.com/@RaNa-66TCC
X(旧Twitter):https://x.com/rana66tcc
それぞれが描く、恋のかたち
「愛を伝えたいだとか」では、松永依織さんとRaNaさん、それぞれが異なる恋のかたちを描いていました。
誰かを想う気持ちは、決して一つの感情だけではありません。
会いたいという素直な気持ち。
相手の気持ちが分からないもどかしさ。
そして、想い続けることへの疲れや、少し離れた場所から見つめるような複雑な感情。
同じ「愛を伝えたいだとか」という楽曲であっても、歌い手がどの部分に心を重ねるかによって、そこに描かれる恋の姿は変わります。
原曲が描いた恋愛の物語を大切に受け取りながら、自分自身の解釈を重ねて届ける。
そこに、歌ってみた作品ならではの面白さがあるのだと思います。
原曲が描いた恋愛の物語を大切に受け取りながら、自分自身の解釈を重ねて届ける。
同じ恋の歌でも、歌い手が変わることで見えてくる感情や物語が変わる。その違いこそが、歌ってみた作品を楽しむ大きな魅力なのだと思います。
空の青さを知る人よ|MaiR
MaiRさんの「空の青さを知る人よ」から感じたのは、爽やかな風のような心地よさでした。
この楽曲が持つ、過去への想いや少しの寂しさを抱えながら、それでも前へ進んでいく世界観を、伸びやかな歌声で丁寧に表現しています。
力強く背中を押すというよりも、隣で同じ景色を見ながら、ゆっくりと歩幅を合わせてくれるような優しさがあります。
また、歌唱だけではなくMV全体からも、原曲へのリスペクトが感じられる作品です。
楽曲の持つ雰囲気を大切にしながら、MaiRさん自身の表情や一つひとつの仕草によって、「今この瞬間」を大切に歌っていることが伝わってきます。
原曲が描く青春の記憶や未来への想いを受け取りながら、MaiRさん自身の歌として届けられた一曲。
聴き終えたあと、少しだけ前を向いて歩き出したくなるような、温かな推進力を感じる歌ってみたMVです。
🎨 制作スタッフ
Vocal:MaiR
🌐 SNS / チャンネル
YouTube:https://www.youtube.com/@HoshinoMea
X(旧Twitter):https://x.com/MaiR_Hoshino
ハート|白河しらせ
最後にご紹介するのは、白河しらせさんの「ハート」です。
その歌声から感じられるのは、可憐さと純粋さ。
まっすぐな想いを大切に抱えているような歌声は、まるで初恋の頃の記憶を思い出させてくれるようです。
「ハート」が持つ優しく温かな雰囲気を丁寧に受け取りながら、白河しらせさん自身の透明感あふれる表現へと昇華されています。
派手なアレンジや強い感情表現ではなく、素直に歌と向き合うことで生まれる美しさがあります。
原曲へのリスペクトと、自分自身だからこそ表現できる魅力。
その二つが心地よく重なった、今回の特集を締めくくるのにふさわしい歌ってみたMVです。
🎨 制作スタッフ
Vocal:白河しらせ
🌐 SNS / チャンネル
YouTube:https://www.youtube.com/@SHIRASESHIRAKAWA
X(旧Twitter):https://x.com/shirase_s_BW
あとがき
今回ご紹介した8つの歌ってみたMVを通して感じたのは、一つの楽曲が持つ表現の広がりでした。
同じ歌詞、同じメロディであっても、歌い手が変われば見えてくる景色は変わります。
誰かを想う温かさとして届くこともあれば、胸に残る切なさとして響くこともある。そして、過去を受け止めながら未来へ進む力を与えてくれることもあります。
あいみょんさんが生み出してきた楽曲は、多くの人に歌われ、聴かれ続ける中で、それぞれの歌い手による新たな表現として広がっています。
10周年という節目は、そんな楽曲たちと改めて向き合い、まだ知らなかった歌声や表現に出会うきっかけとなりました。
原曲へのリスペクトを大切にしながら、自分自身の解釈や想いを重ねて届ける。
そこに、VTuber・VSingerが歌う歌ってみた作品ならではの魅力があるのだと思います。
今回の記事が、あいみょんさんの楽曲を改めて楽しむきっかけになるだけでなく、新たな歌声との出会いにつながれば嬉しく思います。
VirtualSoundBoxでは、これからもVTuber・VSingerが届ける音楽と、そこから生まれる新しい表現を追いかけていきます。
